睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、睡眠中に10秒以上の呼吸停止を繰り返す病態をいいます。症状としては日中の強い眠気や集中力の欠如が挙げられます。長時間無呼吸が持続すると身体が酸欠をきたし、それを補うために大きな呼吸をします。これがSASに特徴的ないびきとなります。
本人に自覚はなく、家族などから指摘されて気付く事がほとんどです。SASは生活の質を落とすだけではなく、生活習慣病を発症し、心不全、心筋梗塞や脳卒中の原因となります。また、運転中の眠気はしばしば重大な事故を引き起こし深刻な社会問題にもなっています。
SASが疑われる場合には睡眠ポリグラフィー検査(PSG)で呼吸や睡眠の状態を調べます。検査の結果、中等症〜重症と診断された場合には、睡眠時に持続陽圧呼吸(CPAP: シーパップ)を使用する事で、いびきや呼吸状態が改善し、眠気もなくなるので日中の集中力が高まります。また、高血圧や糖尿病のコントロールが良くなるなど生活習慣病の改善にもつながります。SASを合併した心臓病患者さんは合併しない患者さんに比較して死亡率や再発率が高いと言われています。そのような患者さんにCPAPを用いると予後が改善される事が多くの研究でわかっています。
以上の事から循環器内科医として心臓病や生活習慣病の診療を行う上で、SASを無視できないものと感じています。いびきや無呼吸を指摘された事がある方は一度ご相談下さい。当院では簡易PSGという自宅で検査できる機器をご用意しております。